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2005年7月 5日 (火)

魔都上海

「魔都上海」劉建耀
ISBN4-06-258186-8

1845年 上海の租界が始まった。そして第2次大戦頃までの約100年間存在した近代西洋と中国の伝統文化の混血児が「魔都上海」である。「魔都上海」うーん。「租界」「阿片窟」「妓館」 その時代に生まれたら男なら行ってみたくなる響だよねぇ。

この本は、1845年頃から第一次上海事変頃までの上海の歴史を文化的な側面とそれが日本に与えた影響についての論文と言ってよいだろう。文章はやや硬いが面白く読み進むことができた。

1845年 アヘン戦争に勝ったイギリスは上海に租借地をみとめさせる。それが上海の租界の始まりであるが租界は「風紀の乱れた場所」というイメージで捕えるのは一面的にすぎるようだ。上海にできた租界は欧米諸国にとって 商業基地であると同時にキリスト教を布教するための情報発信基地でもあった。キリスト教を布教するために宣教師たちは聖書を翻訳するのみではなく 西洋の学術書を翻訳し西洋の制度や政治を紹介する雑誌を出版していた。

これらの漢籍は日本にも輸入されていた。江戸時代の日本は「鎖国」をしているようでいて意外と海外の情報は入っていたのだ。その一部は上海で翻訳・出版された漢籍であった。
幕末になると書籍を輸入するのみならず多くの日本人が上海を訪れることになる。上海を訪れた日本人は西洋近代と半植民地化した租界を経験したのだ。この上海体験は明治維新への大きな力となった。

明治維新が成功し近代日本が成立すると「整って窮屈な日本」vs「自由と渾沌の上海」という構図が出現する。近代と中国の混血都市、清の中の独立国。「魔都上海」って良い響だよぇ。

近現代史をもう一度読みなおしたいと思ってしまった一冊でした。

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