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2008年2月 7日 (木)

モラルとルールと暗黙のルール

モラルとルールと暗黙のルール

産経新聞:【解答乱麻】政策研究大学院大学教授・岡本薫 モラルは統一できない
http://sankei.jp.msn.com/life/education/080206/edc0802060811003-n1.htm

日本人は何か問題が起こるたびに人々の「規範意識」なるものを持ち出すが、「モラルとルールの混同」が蔓延(まんえん)している日本では「規範」の意味についても混乱がある。


: 
「自由と民主主義」とは、内心・行動ともに「自由」を原則としつつ、行動についてのみ「民主主義でルールを作る」ということである。

ルールによる規制のない「内心」は常に自由だが、「行動」は「ルール違反でない自由な行動」と「ルール違反の行動」の2種があるわけだ。


: 
いじめの問題も「いじめたい」という内心を撲滅しようとするから解決しない。

そうした内心の存在を認めた上で、いじめという「行動」は「ルール違反」だという教育を徹底すればよいのだ。

こうした混乱は、「個性化・多様化」(心やモラルもバラバラになる)によってますます助長されている。

一方で「内心の自由」「個性化・多様化」と言っていながら他方で「心・意識・モラルの統一」を目指すのは完全に矛盾している。

「内心の自由」と「個性化・多様化」を前提としても「すべての子供に共通して持たせるべき心」があるとすれば、それは「ルールを守ろうとする心」だけである。

「いじめの問題も「いじめたい」という内心を撲滅しようとするから解決しない」という言葉には同感だ。「モラルは統一できない」と言うことにも賛成する。しかし、この記事には違和感をもってしまう。

       *       *       *

この記事で岡本さんは「モラル」と「ルール」について述べている。この記事を読んだ限りで岡本さんは、「モラル=良心(個々人の心の内にあるもの)」と定義し、「ルール=明文化された規則」としているようだ。

それだけで良いのだろうか。

もうひとつ「暗黙のルール」あるいは「暗黙の価値観」というものを考えなければ、教育は出来ないのではないか。

       *       *       *

「暗黙知」というものをご存じの方は多いと思う。「知」には「明確に定義できる知」と「定義できない(言葉に出来ない)知」がある。

そして、「言葉にできない知(暗黙知)」が存在しなければ、「言葉にできる知」は存在しえない。

       *       *       *

同じようにルールにも「定義(明文化・法律化)できるルール」と「定義できないルール」があると思う。そして「定義(明文化・法律化)できるルール」の前に「言葉に出来ないルール」が存在する。

言い替えると「定義(明文化・法律化)したルール」が「何故、正しいか(正しいと感じるのか)」を支えるのが、言葉にできないルールだ。

企業、あるいは学校でもクラブでも家庭でも、人間が集団で活動する所には、ルールがある。

家庭では明文化されたルールなど存在しないだろう、ではルールが存在しないか、あるいは、明文化できないかと言うと、そうはない。日常の行動の大部分が明文化できるだろう。ただ面倒くさいから明文化しないだけだ。

では、全てを明文化できるか、その理由までも明文化できるだろうか。

出来ないだろう。

言葉にならないルールや価値観、あるいは、「ならぬものはならぬ」としか言いようのないことが残るはずだ。

       *       *       *

最後の部分を再び引用する。

「内心の自由」と「個性化・多様化」を前提としても「すべての子供に共通して持たせるべき心」があるとすれば、それは「ルールを守ろうとする心」だけである。

「ルールを守ること」は大切だ。しかし、それで十分だろうか。子供に向かい合う時、(「子供の個性や心の自由」を大切にするために)「ルールを守ろうとする心」だけを求めれば十分だろうか。そして、「ルールを守ろうとする心」だけを求めることは可能だろうか。

私は、十分であるとも、可能であるとも思わない。

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