母子加算より教育の充実を
母子加算より教育の充実を
北海道新聞:母子加算復活に喜び 道内原告会見 訴訟は当面継続
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/203170.html
会見したのは、札幌、釧路両地裁に提訴している原告8人のうちの4人。札幌市東区の菊地繭美さん(46)は「支援に感謝したい。高3の長男には服でも買ってあげたい」。北見市の成田純子さん(41)は「5歳の娘はガス代節約のため冬でも冷水で手を洗う。一番勇気をもらった」と笑顔で話した。
私は「日本はいい国だ」「豊かな国になった」と思います。本音でありますが、皮肉も半分入っています。
少し前に生活保護を受けている方が、母子加算が復活したら回転寿司と言っていたニュースを目にした時にも思ったのですが、日本は豊かな国です。
生活保護を受けている、自活できるだけの仕事をしていなくても(出来なくても)「お寿司」が食べられるのですから。
この記事にも同じ印象を受けます。そして、自分の子供時代や就職したての頃を思い出すと、あの頃の生活は「現在の生活保護レベル」にも達していなかったのかなと思い、また、そんな生活をしていた自分も、職を得(今後は判らないけど)結婚し子供を得て、「それなりの幸せな生活」というものをしている自分を思うとき、「最低限の文化的生活」ってなんだと思います。
* * *
私が小学生だった40年前、瞬間湯沸器などというものはありませんでした。どこかのお金持ちの家にはあったのかも知れませんが、我が家にはありませんでした。当然、朝の洗顔は「冷水」でした。5歳の時の事は覚えていませんけれど、冷水で手を洗っていたと思います。
家に湯沸機が付いたのは中学の時と記憶しています。わざわざお湯を沸かして手を洗うなんて(面倒くさい)ことはしなかったので、手を洗うのは、それまでは冷たい水でした。
でも、学校に行き、勉強して、それなりに就職しました。
* * *
そして、就職し会社の寮に入った時(30年前です)、寮に湯沸器はありませんでした(部屋に流しはありましたが、トイレや風呂は共同でした)。
それでも普通に働いていました。
30年前、40年前はそれが普通で、湯沸機がないから(冷たい水で手を洗わなければならないから)と言って「生活保護」を受けたりはしていませんでした。
「最低限の文化的生活」は時代とともに変わります。30年の間に、日本は豊かになり「湯沸器」が必須のものとなったのかも知れません。
でも、ひとつ言える事があります。
それは、「冷水で手を洗っていても、きちんと勉強すれば、そして、真面目に仕事をすれば(そして、少しばかりの幸運に恵まれれば)、結婚も出来るし家庭も築けるし、子供も持てる」と言うことです。
勿論、家族も子供も持たくないという選択もあるでしょうけど。
* * *
いま問題なのは「教育の格差」です。教育を受けられれば(そして、教育を受けることの価値を知っていれば)、冷水で顔や手を洗っていても人生やって行けます。幸せになるチャンスをつかめます。
格差は、経済状況や家庭環境によって、受けられる教育レベルが変わることで世襲されてしまいます。ですから、私には、「冬でも冷水で手を洗う」というお涙頂戴ではなく、「貧乏で塾や予備校に行けなかった。受験で不利だった」と言う方がよっぽど切実で共感できるのです。
母子加算を復活させて「お寿司を食べること」や「あったかいお湯で手を洗うこと」よりも、返済不要の奨学金や予備校や塾の費用の補助や公教育の充実に充てる方が、子供の幸せに継るのではないでしょうか。
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ところで、北海道の小中学校ではお湯が常時供給されているのでしょうか。トイレなどで手を洗うときお湯が普通なんでしょうか。もし、そうなら何年前からでしょうか。
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コメント
政治が国民を甘やかす政策で日本の能力を低下させる事に「票」の為に専心している姿を見ると情けなくなります。
馬鹿な世を政治が作り出している。教育の格差を語る前に正常な教育がおこなわれているのか?疑問です。
投稿: 猪 | 2009年12月 4日 (金) 10時40分
いつも拝見させてもらっております。霧の摩周湖です。
最近は分かりませんが、20年ほど前は私達も水で顔を洗っていましたし学校に給湯機器があるのは先生達が居る職員室など限られた場所でしか無かったと思います。
最近北海道の学校も創立100年を経過する学校がありますので学校の立て替えを理由に設備を充実化させている可能性もありますので一概に今の子が冷水で洗っているかは分かりませんが。
投稿: 霧の摩周湖 | 2009年12月 4日 (金) 12時33分
心から同意します。
他にも子供手当とか、高校無料化ではなく、教育に予算を使って欲しいです。
公立高校の老朽化した設備や器具などもちゃんとしたものに変えて欲しいですし、教材にもお金をかけて欲しいです。
米百俵の逸話はこういうことだったはずですよね。小泉氏が言っていたような意味ではなく。
投稿: ひなげし | 2009年12月 4日 (金) 19時32分
今の子も公立の学校なら、小・中・高は水ですよ。お湯で手を洗うなんて聞いたこともありません。勿論、幼稚園も水でした。(足だって洗うし)大人数なのに、お湯を常時出しっぱなしにでもされたら、ガス代が大変です。水でもタオルでちゃんとふけば少しも寒くありません。子供はそれが当たり前と思えば文句を言いません。ひょっとしたら、この親は子供だけ水で、自分はしっかりお湯で手を洗っていたのでしょうか?どっちにしても大した額ではない筈ですが・・・。
投稿: なつみ | 2009年12月 4日 (金) 19時33分
なつみさん、ひなげしさん、霧の摩周湖さん、猪さんこんにちは
コメントありがとうございます。
そーですよね。いまでも公立学校なら生徒が温水なんて環境じゃないですよね。
生活保護の必要性は認めるけど、「悲惨なんです」ってアピールが「冷水で手を洗う」とか「お寿司食べたい」じゃね。
なんだか違うと思ってしまいます。
投稿: 乱読雑記 | 2009年12月 5日 (土) 07時40分
私たちのころはお湯で顔を洗うなんて事も考えられない時代ですから比較には成りませんが、現在では矢張り全国共通の設備はしてやって欲しいモノです。
教育に地方も中央もありません、国家は安全保障・治安維持・教育は全国共通のモノでなくてはいけないのですが、安全保障も治安も教育も預けっぱなし・・・政権維持だけに拘ってる。日本人の思考も下落するのは当たり前です。
投稿: 猪 | 2009年12月 5日 (土) 10時38分