国民国家の終焉
国民国家の終焉
毎日新聞:フランス:「フランス人とは何か」サルコジ政権が問い ゆがむ論議、広がる反発
http://mainichi.jp/select/world/news/20100111ddm012030061000c.html
「フランス人とは何か」。そんな根源的な国民論議がフランスで続いている。国民の10人に1人が移民(不法移民も含む)であるという現実を前に、保守派のサルコジ政権が「フランス人を定義し、国民の誇りを再確認しよう」と呼び掛けた。フランス語を話す、国歌を歌える、伝統的な政教分離主義を守る、などさまざまな意見が出る一方で「こうした論議自体、移民やイスラム教徒の排斥につながる」との反発も強くなっている。
フランスは民主的な国民国家だ。国民国家や民主国家にとって「国民とは何か」と言うのは根源的で大切な問いだ。
何故、大切なのか。それは民主国家においては多数決で物事が決まるので、否定される少数が必ず存在するということ。
否定された少数派は多数派の決定に従わなくてはならない。少数派は自分の意に反する事をどのように納得するのか?
それは「同じ国民」だからだ。
なにかしらの連帯感、同胞意識、同族意識があるからだ。
法律で決まっているからじゃない(その法律そのものが多数派によって決められている)。
共感も連帯も出来ない人間同士なら(多数派だろうが、少数派だろうが)実力行使なしに従うことなんて出来ない。
連帯する・連帯できる範囲。これが国民国家における国民の定義だ。
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フランスで「フランス人とは何か」と言う議論をする。これは「フランス国籍保有者の間で同族意識・同胞意識が弱まっている」ことを意味している。弱まっているから、改めて「フランス人とは何か」を問いフランス人同士の連帯感を再確認・再構築しなければならないと意識するのだろう。
フランスは「博愛」で「リベラル」な国だ。その博愛とリベラルな思想で多数の異民族を受け入れた。その結果、国民同士の連帯感が薄れ、民主国家・国民国家としての危機を迎える。
皮肉な事だと思う。だけど、これはフランスに限った話ではないと思う。
民主国家は一般に「自由」を重んじる。内心の自由・良心の自由・信仰の自由・思想信条の自由。
しかし、信仰や思想信条の全く異なった相手と「連帯感」や「同胞意識」を持つのは無理がある。
民主的な国民国家は「国民に自由を保障しなければ民主的とは言えない」しかし「国民に自由を保証すれば分裂するかもしれない」という危ういバランスの上に成り立っている。
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アメリカ合衆国の答えは「星条旗」。党大会や選挙で「これでもか」という程に星条旗が出てくる。星条旗に忠誠を誓う、そして、愛国心。
どんな価値観や宗教でも「アメリカ合衆国に忠誠を誓う」ならば、アメリカ合衆国国民。
星条旗でもって連帯感と同胞意識を醸成する。
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フランスにも移民が増え、多様な人種・多様な宗教があるのだろう。この危機を乗り越え「フランス国民であるとの連帯感」を醸成することが出来なければ、国民国家・民主国家としてのフランスは終焉するだろう。
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日本人は、「日本人とは何か」とか「日本国民とは何か」と考えなくても良かった。日本国が誕生してから明治維新まで、異民族の侵略を受けることがなかった(撃退できた)。
しかし、明治維新以降、他民族が日本に多く住むようになってきた。
「日本人とは何か」あるいは「民主国家でありつづける為に何が必要か」と考えなくてならない時代なのかもしれない。
2010/01/12 06:58 訂正
訂正前:実力行使しに従うことなんて出来ない。
訂正後:実力行使なしに従うことなんて出来ない。
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コメント
国家とは・・・時代遅れでは有りません、イスラエルの人の苦労を日本人も今「知る」事が必要です。
投稿: 猪 | 2010年1月12日 (火) 10時00分
署名のご協力と拡散をお願いいたします。
オレンジいろのあささんからの情報です。
東京都神社庁が「外国人参政権法案と夫婦別姓法案反対の署名運動」を開始、都内全ての神社の社務所に署名用紙を設置して呼びかけを行うそうです。
ご協力お願いいたします。
http://orange-daidai-color.cocolog-nifty.com/orangeblog/2010/01/post-599c.html
この法案を是非つぶしましょう。
投稿: a | 2010年1月12日 (火) 19時12分