非武装の国は見つかりませんでした
非武装の国は見つかりませんでした
北海道新聞:軍隊ない国 歩いた体験 全国で講演 札幌出身前田さん
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/sapporo/241968.html
「数で言えば軍隊を持たない国は決して例外ではない」。札幌出身で東京造形大教授の前田朗(あきら)さん(54)=刑事人権論=が、世界の「軍隊のない国」27カ国を実際に足で歩き、その体験を全国各地で講演。国連で憲法9条の平和理念をアピールする活動にも取り組んでいる。
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ひと口に「軍隊がない」といってもそれぞれの歴史的経緯は違う。軍隊が自国民を殺害したことを契機に廃止したドミニカ。憲法に戦力不保持を明記している中米のコスタリカ。君主が廃止を決めた欧州のリヒテンシュタインなど、憲法や制度もさまざまだった。自国の軍隊は持たないが米軍が駐留していたアイスランドでは、訪問した06年に米軍が撤退。「自国の軍隊だけでなく他国の軍隊も置かないことを実現した国もあるんです」
ドミニカ/コスタリカ/リヒテンシュタイン/アイスランドと具体名が挙がっていますので、ちょっと調べてみました。
ドミニカ
Wikipediaのドミニカ共和国には「軍事」という項目があります。引用します。
ドミニカ共和国大統領は軍の最高指揮権を持つ。ドミニカ共和国軍は44,000人の現役兵から構成されているが、実際に軍務に服しているのは24,000 人程度で、それ以外の要員は非軍事部門で活躍している。
軍隊を廃止したハズのドミニカ共和国ですが、Wikipediaによると、軍隊を持っていますね。どちらが正しいのでしょうか?
コスタリカ
Wikipediaのコスタリカによると、軍隊は廃止していますが「市民警備隊」があるようです。
ただし、警察の半分に当たる4,400人によって組織される市民警備隊は、国境警備やゲリラ対策のために対戦車ロケット砲などの火器を装備しており、英国の国際戦略研究所などではそれらを含めた総警察力を準軍隊として扱っている。予算も隣国ニカラグアの国軍の3倍近くあり、これらのことからコスタリカが非武装国家であると言う主張は誤りであるとの説もある。
コスタリカは日本と同じパターンですね。日本には「軍隊」はないけど自衛隊はある。コスタリカも軍隊は廃止していますが「市民警備隊」がある。
実質的には戦力を保持しています。
リヒテンシュタイン
ヨーロッパの真ん中、スイスとオーストリアに挟まれは人口3万人の小国です。人口3万人といえば日本の小都市程度の規模です。この規模で軍隊を持ったところで、無意味です。また、スイスに外交や防衛を依存しています。
この国の状況は極めて特殊です(そもそも独立国と呼べるのか)。
アイスランド
Wikipediaのアイスランドの軍事によると軍隊は無いけれど、私には非武装とは思えません。ちょっと引用します。
アイスランド国家警察は特殊部隊(Sérsveit ríkislögreglustjóra)を有している。国家警察の直轄部隊であり、対テロなどを想定した任務となっている。爆弾処理班や狙撃班などで構成され、一部はアフガニスタンにも派遣された。
アフガニスタンに「爆弾処理班や狙撃班」を派遣したのでしょうか、それとも、完全な後方部隊なのでしょうか。Wikipediaの記述では判りません。
警察の特殊部隊以外にも湾岸警備隊を持っています。
アイスランドは1920年代に沿岸警備隊(Landhelgisgæslan)を設立し、漁業保護を中心に行ってきた。1950年代から 1970年代にかけては、イギリスとタラ戦争と呼ばれる衝突を起こしている。
アイスランドは地理的条件により、大規模な軍事力を持たなくても防衛できる(大西洋をアメリカが押さえているかぎり、アイスランド本土に侵攻できるのはアメリカだけ)。小規模ながら戦力を持ち、イギリスと衝突したこともある。
少なくとも非武装とは言えません。
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引用した北海道新聞に具体名の挙がった国で、特殊な状況下にある国(他国に防衛を依存しているリヒテンシュタイン)以外に、非武装の国は見つかりませんでした。
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コメント
日本の場合は「緊急時に会議」を開かないと動けない武力?世界にもまれな国家です。
投稿: 猪 | 2010年7月18日 (日) 10時24分