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2010年9月 1日 (水)

大都市は地方から受け取っているものに無自覚であってはならない

大都市は地方から受け取っているものに無自覚であってはならない

読売新聞:若者流出止まらず…和歌山
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20100831-OYT8T00405.htm 

要因の一つは、自然減。73年に1万8985人だった出生数は、2009年には7729人と6割減り、合計特殊出生率も1・36と落ち込んでいる。その一方、死亡者数はここ数年1万〜1万1000人で推移し、毎年3000〜4000人の自然減が続き、高齢化が進んでいる。

  もう一つは社会減。県外への年間転出人数が1万7000〜1万9000人であるのに対し、県内への転入数は1万4000〜1万5000人で、毎年2000〜4000人が減っている。転出者の多くは20歳代と30歳代の男性で、県は「県内に大学や大企業が少ないことが原因」と分析する。

日本全体の人口が増えている状況であれば別だが、減っている状況では社会的な人口の移動は流出している側にとっては辛いことだろう。

社会的流出が起きている地方は謂わば「敗者」だ。魅力的な職場を用意できなかった、インフラ整備が出来なかった、その結果の社会的な人口の流出だろう。

   *        *       *

流出をしている地方が敗者であることを認めた上で、流入している側に苦言を呈したい。

首都圏を始めとする大都市は、地方から人口を吸い込んでいる。それは、その地域に(相対的に)魅力的な職場やインフラがあるからだ。それを勝利と誇ることが出来るのか。それは地方からの「人間という資産」を飲み込み続けなければ維持できない繁栄ではないのか。

地方から都市部へひとりの若者が移住する。その事によって地方は数千万円単位のコストをかけて育てた資産を失っている。都市部は数千万円単位かけて育てた資産を受け取っている。

子育てにはコストがかかる。一人の子供を育てて教育を受けさせて一人前にする。それまでに2000万円以上の教育費と手間暇がかかる。

その教育費と親や地域社会の手間暇をコスト換算したら、地方は都市部にいったいいくら支払っているのだろか。都市部はいったいいくら受け取っているのだろうか。ひとりの人間を育て上げるのに地域社会がかけた費用を1000万円と仮定する(費用を国が負担している部分もあるので、ざっくり1000万円とする)と年間200億~400億の資産を和歌山県は失っていることになる。逆に言えば都市部は毎年200億~400億和歌山県から受け取っている事になる。

人口が流出している地方は和歌山県だけではないだろう。日本全体ではいったいいくらの資産が、地方から都市部へ流れ込んでいるのだろうか。その資産の移動なしに都市部は繁栄を維持できるのだろうか。

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地方は敗者、都市部は勝者と言うことは容易い。しかし、都市部は地方からの「教育を受けた人間」という資産の移動があるという事を忘れてはならない。

でなければ、地方の人口減少が極限に達したとき、都市部もまた停滞への道を歩み始めることになるだろう。

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コメント

民主党・みんなの党も「地域主権」だそうです・・・

投稿: 猪 | 2010年9月 1日 (水) 14時44分

地方の人こそ大都市から受け取ってる多くのものに感謝すべきです!とも言えますよ?
地方は人材の供給地などとまるで優秀な人材ばかりを輩出しているように言いますが、実際は大半がゴミクズだと私は思います。
だってそうでしょ?
優秀な人材を輩出する地方がなぜ過疎化するのですか?
答えは簡単。人材が居ないからですよ。優秀な人材ばかりが生まれる地なら自然と栄えるはずです。
そして都会の富におこぼれを求めてどんどん都市部に流入するわけです。
都会に流入する地方人はかならずしもプラスになる人間ばかりじゃないんですよ。
同じ日本じゃないですか。
都会も地方も譲り合い我慢し合ってがんばっていきましょうよ。

投稿: システム | 2010年9月 1日 (水) 19時02分

システムさん、こんにちは。

> 都会も地方も譲り合い我慢し合ってがんばっていきましょうよ。

はい、私は記事をそのようなつもりで書きました。自分の記事を読み返してみると、地方の貢献ばかりを書いていて、「みんなで頑張っていこうよ」という気持ちが表現できていないですね。文章力が無くてスミマセン。

 ***

この記事で書こうと思っていて、書かなかった事をふたつばかり書きます。

ひとつめ、都市部から地方への”資産の移動”は判りやすいが、地方から都市部への”資産の移動”は判りにくいのではないか。

都市部の人達が払った税金が、公共事業や交付金という形で地方に流れる。これは金額が明確で判りやすい。だから、都市部の人は地方へ税金が使われる事に不満を持ち易い。そこへ新自由主義的な考えが入ってくると、負けた地方の自己責任となってしまう。

それは正しいかもしれないが、持続可能なのか?という疑問を都市部の人も持ってもらいたい。

ふたつめ、人間が集まる、人が減る。人が集まる場所には益々あつまるようになり、人が減った場所は益々減る。

人が集まる→その人達を相手にした商売が生まれる→その商売が雇用を産む→仕事を求めてさらに人が集まる。

人が減る→その人達を相手にした商売が廃れる→雇用が減る→さらに人が減る。

都市部が勝っていると言っても、この循環に上手いこと乗っただけではないのか。多少、優秀な人材があったとしても、この循環に逆らう事は出来ないのではないか?

 ***

などなどと書きましたが、私には定量的な議論も精緻な議論をする能力はございません。残念な事ですが。

 ***

地方を見捨てるのも選択肢です。私は日本全体として繁栄することを望んでいます。極端な話、地方が人材を供給できないのであれば、そして、経済的活動が出来ないのであれば、切り捨てても良いかも知れない。

しかし、都市部の人達が地方の貢献を忘れてしまっていれば(気がつかないでいたら)、切り捨てた後に後悔することになるのではないかと疑問に思っただけなのです。

投稿: 乱読雑記 | 2010年9月 2日 (木) 01時15分

書いているうちに私と馬の合わない地方出身者の顔が浮かびついつい変なコメントを書いてしまいました。
申し訳ございません><
おっしゃる意味はとてもよくわかります。
都市部と地方が互いに無神経であってはならない。そして人材の偏りも結局は国家のバランスの上ではマイナスになってしまう。
目指すべきは地方から都市部への一方的な流入ではなく、バランスの取れた人材の流動性だと思います。
それを実現するにはやはり農業が鍵になると私は思います。
都市部がどんなに望んでも手に入らないもの。それは農地です。そして人間が生きていくうえで必要不可欠な食を農地は担っています。
ではなぜ農業に従事しようとする都市部の人材がほとんどいないのか?
私は制度的な問題だと思うのです。
この制度的な問題を解決するには都市部の人間の意見を押し付けるわけにはいきません。
やはり地方の人々の意識改革が必要だと思うのです。
「農業は食えない」とか「若者が嫌がる」などという話を良く聞きます。果たして本当にそうでしょうか?今の都市部の若者はもっと食えなくてもっと悲惨な労働条件で働いています。
農作物を海外に輸出して外貨を稼ぐ国は世界中に存在します。農業はやり方ひとつで国家の主要産業になる事も可能なのです。
日本が工業力と農業力のダブルエンジンで世界に冠たる国を目指せば都市部と地方の格差もおのずと解決するのではないかと思います。

投稿: システム | 2010年9月 2日 (木) 23時53分

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