国家を統一する価値が揺れるとき
国家を統一する価値が揺れるとき
中日新聞 社説:サンスーシ宮殿の憂鬱 週のはじめに考える
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2010100302000006.html
ドイツ再統一から二十年。ベルリンの壁はなくなりましたが、新たに欧州を分断しかねない、目に見えぬ大きな壁が構築されつつあります。
再統一に思いを致すべき時に、一冊の本がドイツで大きな波紋を広げています。
「自壊しゆくドイツ」
ドイツ連邦銀行の前理事ティロ・ザラツィン氏が、深刻化する一方のイスラム系移民問題への本音を吐露した本です。現地メディアに掲載された抜粋には、通常公言を憚(はばか)られる文面が満ちています。
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しかし、本が書店に並ぶと、識者の批判とは裏腹に大きな評判を呼び、売り切れ店が続出、早くも六十万部を超えるベストセラーになったのです。政治家や専門家の建前の議論ではなく、日ごろ鬱積(うっせき)している本音を知識階層にある著者が代弁してくれた、と一般市民が承認を与えたかっこうです。ミナレット(イスラム尖塔(せんとう))建設禁止を決めたスイス、ブルカ禁止法を成立させたフランス、オランダなど各国での極右政党の躍進など、欧州各国で排斥機運は高まる一方です。
衝突を避ける為に、あるいは自分の要求をオブラートに包むために、建前というものは有効です。いつもいつも本音で生きていたら、ケンカしなくちゃならない相手が多すぎますからね。
でも、建前だけじゃストレスが溜まってしまいます。
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「通常公言を憚(はばか)られる文面」が満ちている本が六十万部も売れる。
建前もほどほどにしないと、本音の逆襲があります。本音が爆発したときには第二の民族浄化のような民族衝突が起きるでしょう。どちらが勝つのかは判りませんが。
ドイツやEUが民族や宗教を越える価値、国家や社会を統一する事の出来る価値を提示出来なれば、ドイツやEUに、分裂か排他主義を選択しなければならない時が訪れるでしょう。
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コメント
日本も参考にすべき点でしょうね、矢張り民族問題は避けて通れない大きな壁。
投稿: 猪 | 2010年10月 3日 (日) 09時26分
菅ー仙石は目先の1m程度しか見えていない。と、どこかのブログに書かれていましたが、同感です。自分達が置かれている状況、世の中の動き、国際情勢など全く見えていない。
これが今の政権中枢とは情けなさ過ぎる。
投稿: シルバーな親父 | 2010年10月 3日 (日) 12時31分