クーデターを防ぐために、政治指導者は国民を説得しなければならない
クーデターを防ぐために、政治指導者は国民を説得しなければならない
サーチナ:【佐藤優の眼光紙背】尖閣ビデオ流出は官僚によるクーデターだ
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=1115&f=column_1115_014.shtml
海上保安官のような「力の省庁」の職員による下剋上の動きを入り口で封じ込めておくことが国益に適うと筆者は確信する。
その点で、自民党の谷垣禎一総裁は健全な秩序感覚をもっている。
本件を与党、野党を問わず国民によって選挙された国会議員に対する官僚の下剋上で、これに対して毅然たる反応をとらないと民主主義が国家の内側から腐蝕される危険がある。谷垣総裁の「映像流出を擁護する人もいるが、国家の規律を守れないのは間違っている」という見解は正論だ。
引用した部分の前に、五・一五事件や二・二六事件などの戦前の事件や政治的な動きについて述べている部分がありました。このあたりの事はみなさんしっていらっしゃるでしょうから、引用が長くなりますのでしませんでしたが、是非、引用元の文章もお読み下さい。
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「『力の省庁』の職員による下剋上の動きを入り口で封じ込めておくことが国益に適う」というのには賛成なのですが、もう一つ注意すべきことがあるのではないかと思います。
それは「庶民感覚」です。庶民の感覚や常識的判断と政府の実行することが、あまりに食い違うとこういった「英雄」を生み出してしまうと言うことです。
船をぶつけた中国人船長は実質無罪放免で国民に事実を知らせようとした保安官は有罪というのはオカシイ、これが庶民の感覚です。
法律や規則を守るのは、処罰されるからだけではありません。その法律や規則が正しい、守った結果に納得できるから守るという面もあるのです。
飲酒運転をしない、したら処罰しなければならない、この規則を疑問に思うひとは(あまり)いないでしょう。飲酒運転を処罰しても(あまり)反発されない。処罰しても反発されないのは、規則であるというだけでなく、飲酒運転が悲惨な結果をもたらすことをみんなが知っているからです。
規則と規則がもたらすものに納得していると言ってもよい。力や権威・正当性・理屈だけでなく、納得が必要なのです。
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今回の場合、例え規則や法律がそうであっても、結果に納得できないという人が多いのではないか。
つまり、この状況をもたらした政治が国民の庶民の感覚から外れすぎているという事です。本来、民主国家であれば政治家の感覚や常識・善悪の判断と国民のそれは大体において一致する筈であるにも関わらず、です。
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佐藤さんの言うように、この流出事件は「官僚によるクーデター」なのかも知れません。しかし、この官僚をクーデター走らせた状況を生み出した世間の空気、擁護し英雄視する世間の空気を生み出した者たちの責任を問わねばなりません。
もし、隠さなければならない事情があるなら、政治家は国民を説得する責任があります。
まず、政治家は国民を説得しなければなりません。それがクーデターを防ぐ最大の力があるのですから。
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コメント
「原因」は犯人無条件釈放でしょう。
投稿: 猪 | 2010年11月16日 (火) 13時32分
事件が発生して犯人逮捕後の処分で後戻りできない誤りを犯した結果がその後の対応決めてしまった。まだ打つ手があったのに時期を失して悪手に悪手を重ねた結果、説明の仕様が無くなり、毒を食らわば皿までの心境か。まー、確信犯だとも思えますが、いずれにしろ事ここに至っては、説得されても納得する国民などいないでしょう。
投稿: | 2010年11月17日 (水) 15時13分