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2011年5月30日 (月)

放射能は低学歴を殺す?そんなバカな

放射能は低学歴を殺す?そんなバカな

週刊現代:安全基準を超えた「内部被曝」(要精密検査)すでに4766人、異常値を示した人1193人隠された放射能汚染を暴く
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/6318?page=3

平均寿命が20年縮む

実は25年前、チェルノブイリ原発の事故が起きた際も、関係者たちは自己保身と責任逃れ、情報隠蔽に終始した。その結果、どんなことが起きたのかを示しているのが、事故現場となったウクライナの現状だ。

同国は、事故の5年後の1991年に旧ソ連からの独立を果たした。その当時の人口は約5200万人。ところが年々、人口が減り続け、2010年には約4500万人になってしまった。19年で700万人もの人口減、その減少率は13%にもなる。

同国の平均寿命は、かつて75歳前後だったが、5~10年後には55歳ほどに低下する可能性があるという。

チェルノブイリ原発事故による寿命の変化は社会変化による寿命の変化よりも小さいと思っていたので、ちょっと意外に思ってぐぐってみました。すると以下のページを見つけました。ウクライナではなくロシアの統計ですが、寿命が短くなっているという事では同じですし、大きな社会変化を受けたという事も同じですし、ロシアの寿命の変化が社会変化にようものでウクライナの寿命の変化が原発事故によるものと言うのは不自然ですので、同じようなものとして扱います。

図録▽ロシアの平均寿命の推移
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/8985.html

また、WHOの報告書は、社会の状況次第で、いかに健康格差が短期間に拡大するかの例として、以下のようなロシアの学歴別寿命の推移の図を掲げている。

これを見ると市場経済への移行過程の中で高学歴の大卒は男女とも寿命を回復する一方で、初等教育卒は大きく寿命を短くなっており、ロシアの平均寿命が低迷する中で、社会階層による健康格差も急速に広がった状況がうかがわれる。

リンク先のサイトにはグラフもあるので見ていただくと一目瞭然なのですが、学歴によって寿命の変化に大きな差が出てきています。

チェルノブイリ原発事故は1986年、ソ連崩壊が1991年、大きな社会変化があったのはこの辺からです。で、グラフをみると、1990年ぐらいから、低学歴の人の寿命は縮む傾向になり、逆に、高学歴の人の寿命は伸びる傾向にあります。

寿命の変化を、社会状況の変化の結果と見ると、資本主義化し競争社会になったと解釈すると、高学歴(つまり社会的・経済的な強者は)は状況が良くなり、低学歴(社会的・経済的弱者)は状況が悪化したと解釈できます。

では、チェルノブイリ原発事故による放射能の影響と考えるとどうなるでしょうか?

放射能は、低学歴を殺し高学歴の寿命を延ばす?

そんなバカなことがあるでしょうか?

  *       *        *

学歴によって職業は制限されるので、低学歴の人が多く就く職業が放射能を浴びやすい環境にあるなどと言えるかもしれません。でも、それだけでは高学歴の人の寿命が伸びていることの説明にはなりません。

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引用した週刊現代の記事には納得した部分もありますが、この部分、「平均寿命が20年縮む」という部分は間違いだと私は判断しました。

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