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2012年5月12日 (土)

電力自由化のリスク

電力自由化のリスク

産経新聞:東電総合計画認定 「電力自由化」を再建のチャンスに
http://www.sankeibiz.jp/business/news/120509/bsg1205092208023-n1.htm

計画の実行にあたっては、政府のエネルギー政策と足並みをそろえなければならないが、もはや電力市場の自由化の流れは避けられない。実はそこには大きな飛躍のチャンスがある。

これまでの東電は地域独占ゆえに経営の自由度が利かない面もあった。そのタガが外れれば、東電のみならず、電機など関連業界にも大きなビジネスチャンスがある。りそなホールディングスや日本航空の再建計画も当初は時間がかかるといわれたが、着実に実績をあげてきた。東電もその歩みをたどるのは不可能ではない。

電力自由化や発送分離が行われるかどうかは判りませんが、私は歓迎しません。何故なら電力は自由化というか市場化に適さない商品だからです。

  *        *        *

自由化・市場化に適する商品であるためには、買い手が品質を判断できること・短期間で繰り返し購入しすること・購入先を変えられること・粗悪品の被害が購入者に留まること(≒自己責任と言えること)・粗悪品による被害が大きくないこと、が必要です。

例えば、薬は完全な自由化に適しません。なぜなら、購入者が品質を(十分には)判断出来ないし、粗悪品があったときの被害がしゃれにならないからです。ですから、薬は他の商品にくらべて規制されています。自動車は別な意味でも規制されています。ある自動車を買ってその車の不具合~例えばブレーキの不良で事故が起きること~を買い手の自己責任と言うことは出来なくはないですが、その事故に巻き込まれた被害者にとってはたまったものではありません。

電力について考えてみます。電力の品質を一般のユーザは判断できません。そんな技術も設備も持ってないし、電力は安定供給されてこそ意味を持ちますが、安定供給についてもユーザは判断できません。

短期間で購入先を切り替えることは(制度設計次第では)できるかもしれませんけれど。

電力自由化、特に発送分離で危険なのは、供給者同士で干渉してしまうことです。送電網がひとつであって、複数の供給者があるとします。供給者のどれかがトラブルを起したらどうなるでしょうか。影響は、その供給者と契約している者に限りません。同じ送電網に繋がっている全ての者が影響を受けます。

同じ送電網を使う以上、事故を起こさない業者でなければなりません。

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また、自由化されるとそれぞれの企業が利益を追求するようになります。設備に多めに投資をして余裕をもった設備を持った供給者の電気は高くて売れなくなり、無理する業者、安全に為の余裕を少なくした業者(事故を起こす可能性の高い業者)の電気が売れるようになります。

安全率を削るチキンレースが始まります。

事故がその業者とその業者の顧客に止まるなら、自由化しても良いと思いますが、電力はそうではありません。

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電力の自由化も発送分離も電力の安定供給を損ないます。それを上回る利益があるとは思えません。新しいビジネスチャンスがあるのかも知れませんが、安定供給を損なってまでの利益があるのでしょうか。

電力の自由化にも発送分離にも私は反対です。

個々の経営者の(東京電力の社長や取締役などの)責任を追求することに反対はしませんけれども。

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コメント

相当昔にガスメーターは電話線を使って自動検針になっている。ガスをずっと使っていると「漏れていませんか?」と電話がかかってくる。

電気はいまだに全ての電力会社で、おばさんが見て回っている。
なんか欧米では自動検針でしかもケータイを使って外からも操作するとかいろいろできるそうで、相当な節電が出来るとのこと。

何で日本ではやらないのだろうか。やはり地域独占がきいているのだろうか。

投稿: 八目山人 | 2012年5月13日 (日) 09時00分

八目山人さん、こんにちは

電力会社は地域独占ですからね。ガス会社は半独占というか多少の競争があります。その差が出ているのでしょうか。

ところで、電力会社は地域独占だから無駄が多い、逆に言うと、いまの電力事情は独占で無駄な設備を多く持っているから、まだ保っているとも言えますね。

改めて原発依存度を調べてみると48%なんですね(http://www1.kepco.co.jp/gensi/fukui/index.html)。48%もの設備が止まっていて、まだ大丈夫なんて(ピーク時以外問題ない。そのピーク時の不足分も20%程度)、どんだけ使っていない(ある意味無駄な)設備を持っていたんだって思います。

逆に言えば、自由化されていて無駄設備を廃棄していたなら、もっと酷い状況になっていただろうと言うことです。

地域独占による無駄が良いことだなんてとても言えませんが、今回の場合は、幸運だったと言えるのでは、と思いました。

投稿: 乱読雑記 | 2012年5月13日 (日) 18時22分

>ところで、電力会社は地域独占だから無駄が多い、逆に言うと、いまの電力事情は独占で無駄な設備を多く持っているから、まだ保っているとも言えますね。
>逆に言えば、自由化されていて無駄設備を廃棄していたなら、もっと酷い状況になっていただろうと言うことです。

「逆に言うと」じゃなんの説明にもなってません。

「逆に言うと」は便利な魔法の言葉じゃ
ありませんよ。

俺なんか、その無駄設備に投じる金、
電力会社の人たちは全部ポッケに入れてもいいから
あぶないものから手を引いてくれって思う。


推測にすぎない
自由化のデメリットを挙げて反対するよりも

そういう餌に周りが飛び付かないように
独占する側にもっとちゃんとせいって
あなたの立場で言うべきでしょう。

よっぽど安全維持に自信がないんですかね。

投稿: やとみ | 2012年5月14日 (月) 11時16分

やとみさん、こんにちは

> 俺なんか、その無駄設備に投じる金、
> 電力会社の人たちは全部ポッケに入れてもいいから
> あぶないものから手を引いてくれって思う。

私は原発事故の放射能よりも電力不足や停電の方が怖いです。

電力不足と原発事故、どちらが怖いかはひとそれぞれでしょうけれど。

投稿: 乱読雑記 | 2012年5月16日 (水) 22時39分

電力自由化は何を目的にしてやるのかわからない。
―――電気代を安くするため?

結局自由化で参入するとすれば、火力でしょ?
だったら、(平時の発電コストが安いことは認めますが、)電力価格が安定しませんよね。

原子力の発電コストは1kwhあたり4円、5円とか言われていた頃よりは、もう少し高いだろうとは思いますが、原子力は電力価格の安定に貢献しますよね。

私もブログ主様と同じように、自由化推進論者のなんでも自己責任とでも言いたいような態度に、怒りを覚えます。

投稿: 田中(悲) | 2012年8月11日 (土) 07時39分

自由化の話が、脱原発と絡められていることに「?」をつきつけねばなりません。

自由化論者は、
―――価格、品質の安全性を担保できるか?
という批判に対して、担保するようにやればいいと言うでしょうが、だったら、なおさら原発やらないといけませんよね?

原発だけは国有化するという意見もありますが、これは、つまり、参入企業は電気の供給能力に責任をもたないということなので、そうなるんだったら、全部国有化してしまった方がいいです。

投稿: 田中(悲) | 2012年8月11日 (土) 07時58分

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