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2015年4月 8日 (水)

「奪う」「与える」

「奪う」「与える」

北海道新聞:歴史、正しく伝わるか 中学教科書検定、アイヌ民族に「土地あたえた」
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0120513.html

文部科学省が6日公表した中学校の教科書検定では、政府見解による新しい基準に基づき、従来は認めていた表現についても修正を求めた。



<狩猟採集中心のアイヌの人々の土地を取り上げて、農業を営むようにすすめました>

日本文教出版(東京、大阪)の歴史教科書は従来、1899年(明治32年)施行の同法についてこう表記していたが、次のように修正された。 

<狩猟や漁労中心のアイヌの人々に土地をあたえて、農業中心の生活に変えようとしました>

表現上、逆の意味となったことについて、文科省は「アイヌ民族を保護するという法律の趣旨に照らすと生徒が誤解する恐れがある」と説明する。 

「教科書誤報事件」のこともありますし、政府がどこまで修正を求めたか(圧力をかけて修正させたか)は疑問に思わないでもないですが、前回と今回の教科書で記述が異なっていることは事実のようです。

内容が変わったことの原因(理由)は判りませんが(単純に政府にあると言ってよいのか?)、記述の変化で思っことを書きます。

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「土地を取り上げて」と「土地をあたえて」、正反対の記述ですが、両方とも正しいのではないかと思います。

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アイヌの人々と明治新政府の人々の接触。片側は文字を持たない人々、もう片方は産業革命の最中にある人々。力の差は歴然です。ここで言う力とは経済力や軍事力のことです。

近代的な「力」を持った政府をもつものともたないものの接触。何が起きるかは想像に難くないです。

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アイヌの方々は土地を登記もしていなかったでしょう。所有を証明するものは何もない。そういった場合、「みんなの土地」になってしまいます。そして「みんな」を代表するものが国家や政府なので、そういった土地は国有地になってしまいます。そして、みんなの土地(国有地)なので、個々人が勝手に使うわけにも使わせるわけにもいかない。

アイヌの側からみると昨日まで平気で入っていって採集できた場所が立入禁止になったり許可がいるようになったことになる。これは「奪われた」と言うことが出来ます。

そして、日本政府の側から言うと、そういう経緯であっても国有地をアイヌの人々に開放し入植させて農業を営ませたなら「与えた」ことになる。また、アイヌの人々が住んでいなかった土地で農業に適した場所にアイヌの人々を入植させたこともあるかもしれない。この場合は、もっと純粋に「与えた」と言うことが出来る。

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日本政府は(明治新政府は)、奪うことも与えることもやったことでしょう。アイヌは奪われることも与えられることもあったでしょう。

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一方的な記述が良くないと言うのであれば、多様な価値観や見方を示して考えさせることを求めるならば、「狩猟採集中心のアイヌの人々の土地を取り上げて、農業を営むようにすすめました」も「狩猟や漁労中心のアイヌの人々に土地をあたえて、農業中心の生活に変えようとしました」も同じように悪いのだと思います。

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コメント

本州以南でも、江戸時代に入会地とされていた所が、国有地になってしまったと言う所があったようですね。別段アイヌだけがある種の割を食った訳ではありません。

投稿: DUCE | 2015年4月 9日 (木) 20時32分

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