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2017年3月18日 (土)

原理的に無理

原理的に無理

中日新聞 社説:中国全人代 民生改善にこそ「力」を
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2017031702000109.html

李氏は「民生は政府活動の要であり、常に心に留め、しっかりと担わねばならない」と力を込めた。採択された政府活動報告には確かに、農村貧困人口の一千万人以上の減少、低所得者向けの住宅の供給、青い空を守る環境保護対策など、民生に目配りした重点政策が数多く盛り込まれた。

だが、民衆が不満を抱える課題の改善は遅々として進まず、汚職腐敗撲滅を旗印に政敵を葬ってきた習氏の「一強支配」確立ばかり目立つのが実情であるといえる。

民生が改善しない大きな理由は、李氏が指摘したように「行政の法執行での規範、公正、理性の不足や、一部幹部の職務怠慢や責任のなすりつけあい、腐敗」にあることは、その通りであろう。

習氏は自身の政治的な権威強化ではなく、真の民生改善を図るための腐敗役人や既得権益層との闘いに力を発揮してほしい。

民主政治の良いところの一つは、政治家が日常的に民衆のニーズを知ろうとするところだ。そして、それを政策や予算(≒行政)に反映させることが出来る。いつもいつも機能するとは言わないけれど、機能することもある。

なぜ、政治家は民衆のニーズを知ろうとするのだろうか。もちろん、政治家としての矜持や志といった理由もあるだろうが、選挙があるからという理由が大きいだろう。民衆のニーズから乖離した政策を実施(あるいは提案)していては落選してしまう。民主政治では政治家は民衆のニーズに無関心ではいられない。

人間は自分に影響を与える存在には注意するもので、民主政治では、民衆は政治家に影響を与えることが出来る、つまり民主政治では政治家が民衆の必要に注意することが運命づけられている。

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中国ではどうだろうか。中国は民主政治ではなく、一党独裁政治だ。独裁体制の下で、政治家に影響を与える存在は何だろうか。民衆だろうか、中国共産党の上層部や政争だろうか。

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「『民生が改善しない大きな理由は...(略)....、職務怠慢や責任のなすりつけあい、腐敗』にあることは、その通りであろう」。

原因のひとつであるかもしれないが、最大の原因は、制度として、政治家にとっての優先度が民衆の必要よりも共産党の上層部の意向の方が重要になるように出来ていることだ。

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「ヒラメ」という言葉がある。会社員や公務員のような組織で働く人間が上の方ばかりみて仕事することを言う。会社の上層部ばかりみて顧客の方をみていない。上司のご機嫌伺いは上手で組織の方針にも敏感、だから会社内での評価は高くなる。しかし、顧客の方を見ていないから、会社全体としての利益にはならない。

中国ような一党独裁政治で、綱紀粛正を行えば、大量のヒラメを産みだしかねない。共産党の上層部の意向や政争の動向を読み違えたら、それこそ、命にかかわりかねないのだから。

綱紀粛正を、腐敗退治を頑張れば頑張るほど、ヒラメが出来てしまう。中国はそういう構造になっている。

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中国で民生を大きく改善するためには、個々の政治家の命運を政党の上層部ではなく民衆が握るようにし、その結果として、政治家の関心が党の上層部ではなく民衆のニーズに向かうようにしなければならない。つまりは民主化だけれど、中国共産党にそれが出来るだろうか。私には出来るとは思えない。

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