2006年1月20日 (金)

軍事知識を身につけよう

軍事知識を身につけよう

「学校で教えない 現代戦争学 文民の為の軍事講座」兵頭二十八
ISBN4-89063-156-9

もし日本が、少数の修業のできた貴族が導いてくれる「アリストクラシー(貴族政治)」体制の国家ならば、一般の国民はいくら馬鹿になっていても大丈夫です。しかし戦後の日本人が「デモクラシー(民主主義)」体制をを選びとるのである以上は、みなさんの全員に、良い本をたくさん読む義務があるでしょう。なぜならば、国民が「メディア・リテラシー」(番組や印刷物などを見たときに、その制作者側の事情、宣伝の真の意図のあるところを見破ることのできる力)を身につけるためには、言語能力を磨き上げる他にないからです。

軍事・安全保障についてどれくらい知っているでしょうか。この本は、楽しみの為に読んだのだけれど、一般教養として軍事や安全保障について学ぶべきだと思わされました。

私は有権者ですから(選挙のときには)数千万分の1とは言え日本の政治に影響力をもっています。日本に限らず「軍事」から無縁の国家はありません。経済と同じくらい軍事は国家運営の大事な要素であるのですから、有権者は経済についてと同じくらい知るべきであると思います。

もちろん、日常の役にたたない軍事知識を身につけるのは無駄ではないかという意見もあるでしょう。

私は株式投資を行っていません。しかし、株式会社や東京証券取引所や日本銀行や公定歩合がどんなものかは知っていますし、決裁書を詳細に読むことは出来なくても会計がどんなものであるかぐらいは知っています。

株式投資を行わない(貯金もあんまりない)人間が「株式会社とは何であるか」「東京証券取引所の役割」「公定歩合とは」と言った経済についての知識を持っていても日常生活には役立ちません。

しかし、選挙のとき各政党の経済政策について判断しなくてななりません。その時には少しは役立つでしょう。

軍事・防衛についても同様であると思います。

日常生活で、軍事・防衛についての知識が役立つことは無いでしょう。けれども、選挙のときに各政党の防衛政策について判断しなくてはならないことは、経済政策についてと同様です。

ですから、「(経済の専門家なら別ですが)経済について知っている程度には、軍事・防衛について知っているべきだ」と思うのです。

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2005年7月28日 (木)

「私の視点 専門高校への偏見」武田明宏

「私の視点 専門高校への偏見」武田明宏
朝日新聞 2005年7月28日12版 12面

専門高校とは 工業高等学校や商業高等学校のことである。

かつてのテレビドラマにも。工業高校に不良がたくさんいるかのような印象を与えるものがあった。私自身も、16年前、助手として4年間勤務した大学から工業高等学校建築科の教員に転職したが、当初は同じような偏見を抱き、身構えて生徒たちに接したことがある。

著者の工業高校での取組を紹介した投稿だが、著者の出身大学との連携を実施し効果をあげていることを述べている。また工業高校への偏見〜不良が多い〜を解消したいと願ってもいる。

私も工業高校を多少は知る人間だが、著者の取組みの方向に賛成したい。そして、いくつかの意見を述べたい。

まず、私の事実認識を述べる。(1)工業高校に入ってくる生徒達は必ずしも工業高校の各専門科の内容や卒業後の針路に憧れて〜あるいは納得して〜入学しているのではない、ということだ。大学ならば、工学部建築科でもレベルがいろいろあり専門によってランクが決まると言うことはあまりない。工業高校では○○科と○×科で受験の難易度が大きく違う。つまり高校受験のときに内申と模擬試験の結果で自動的に学科を決めた生徒が多いのだ。

(2)生徒と教師の間に超えられない壁がある。中学までは生徒は もしかしたら将来、教師になるかもしれない。しかし、工業高校では、生徒が教師になることは まず無いであろうし教師が工業高校の生徒であったこともまずないであろう。

(3)専門性が低すぎる。工業高校の3年では、教えられる専門知識が少すぎるのではないか。一般教養を無視することもできないので、3年間を全て専門知識の修得と実技に使うこともできない。

つまり「工業高校」という存在は中途半端なのだ。この中途半端な存在であることが「不良」と「中退」を生むのではないかと思っている。

対策として著者の行なっているような、大学との連携のような より専門性を高めることは、正攻法であると思う。高い専門知識を身につけることが出来るのであれば、単純に「自分の成績だとこの学校のこの学科」ということは無くなるだろう。生徒と教師の間の壁も「専門家」としてつきあうことが出来れば突破できるだろう。

高校の3年間では短すぎる。専門知識だけのために1年余計に在学できるような制度が出来ないものだろうか。

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